April 09, 2020

アニメーションの仕事を知る

アニメの仕事は面白すぎる

アニメーターの仕事がわかる本

アニメーターの仕事がわかる本

西位輝実 餅井アンナ(共著)
玄光社(ISBN978-4-7683-1279-7)
読みやすいので1〜2日で読める。わかりやすいし、共感できる部分も多い。ワークフローの実情や業界が抱えてる問題なんかも伝わってくる。業界のエグイエピソードはないにしても、もっと具体的な話を期待しちゃった。アニメーターはそれ誰よ?それどこの会社?作品名なに?ってネタが好きなんだけど、そーゆーとこには触れない。にしー先生の経験からある程度は出してもいいと思うんだけど。聞き手が突っ込んだとこまで質問しないのでなんかモヤモヤ。あと、死後くんのイラストが醜い。にしー先生に描いてほしかった。ところでにしー先生はスタジオコクピット出身なんだそうで。てことはオレの後輩の後輩にあたるんだねー。育ててくれた師匠って誰なんだろう?

アナログvsデジタル

作画はクリスタとTVPaintとアナログの三つ巴だって。Animate/Flashは脱落か。デジタルはメリットしかないみたいだけど、
デジタルに拒否反応を示す人すらいる
わからんでもない。デジタル線は生きた感じがしないから鉛筆線が好きってのと、鉛筆のようなスピードが出ないことがある。どっちが楽か、どっちが楽しいかは人それぞれ。設備投資の個人負担が重いからってのは、なんかねー、デジタル作画=液タブって印象がある。液タブは高いよ、でも安い板タブって選択肢だってある。前向いて描けるから姿勢が楽で疲れにくいんですよ。オレ的は液タブより板タブの方が描きやすい。
高解像度化が進めばデジタル化は避けられない
解像度縛りの話で、Flashでない限りデジタルでも4K8K作画は大変ですよ。でもせっかく高解像度作画してもその解像度に固定されちゃうってデメリットがある。素材がアナログなら高解像度でスキャンできる。映画業界でもデジタル撮影からフィルムに戻りつつある。35ミリや16ミリのフィルムなら高解像度でスキャンできるからデジタル化しやすいもんね。

腕の話がよくでてくるのはアニメーターなら当然。うまい人とか描けない人など、絵描きは「画力」で評価できるけどこれが一般人には伝わりにくいと思う。描けない人がアニメーターになってるの?まあ確かにそうだけど、デッサン力がない、パースの理解がない、タイミングがヘタ、キャラが似てない、プロポーションが違う、芝居がヘタ、絵コンテを理解できないなど、描けないにもいろいろある。そもそもうまい絵ってどんなん?超うまいけど近寄りがたいアニメーターと、画力は並だけど手が早くて人当たりもいいアニメーターとどっちがいい?みたいな話もあるよね。

SNS

営業ツールとしてtwitterやpixivを活用せよとあるけど、どんな絵を描いたらいいかって話がなくて。好きなキャラの模写、作品の二次創作、色付きイラスト、ラクガキ、ラフデッサン、クロッキー?ディズニースタジオはミッキーをめちゃくちゃ上手く描ける人より人間のデッサンがうまい人を採るって話を読んだことがある。二次創作やファンアートよりは基礎デッサンができてるとか独自の世界観がある方が有利なのは日本も同じなんじゃない?知らんけど。twitterでのスタッフ探しにアニメ未経験者まで声をかけるの、ほんとやめてね。アニメーターはイラストが多少描ければなれるもんではない。スキルが違うので描けない人が増えるだけ。描ける人は、
描けない人が積み重ねたマイナスを総裁してゼロにする作業
ですら追いつかなくなる。

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アニメの仕事は面白すぎる

アニメ業界56年で993本のコンテを切った奥田誠治さん。そして「アニメの基本バイブル」の共著者。もうTVアニメ黎明期からの大大ベテランですよ。流れで言うと虫プロ系に属する。多くのスタジオを渡り歩いた奥田さんの半世紀。自伝とゆーか仕事自慢。技術的な話はヌキで彼の現場から見た日本のアニメーション史。そして現状のアニメ業界の凋落ぶり。絵コンテのみの仕事が減った理由として、
スケジュール管理のできない制作進行、デスクは絵コンテと(後処理)演出をセットにして出すことで、本来であれば制作が行う雑務まで押しつけることができる。受ける若手も、その「演出」という「ネーミングの魔力」に負けて、安い値段で引き受けることとなり、それが業界のスタンダードになってしまった。
アニメ業界に増殖しているアニメ監督について、
監督になると声優と仲良くできる、周囲に偉そうにできる、女の子にもてる。そんな意識で監督にしがみつく連中が増えた。我々の時代は少なくとも面白いことができる、映像が作れるそのために監督になりたかった。
こーゆーのが書けちゃうのは奥田さんしかいないだろう。大御所のエピソードも実名でたくさん紹介されてるし、制作上でケンカした話も多い。『アトム』で富野さんのコンテを直して原画描いた話とか、大塚さんのフィアットに乗せられた話とか。虫プロ系の仕事仲間だった杉井兄弟、宮本貞雄、月岡貞夫、宇田川一彦、出﨑兄弟、丸山正雄、林兄弟、岡迫亘弘、村野守美、富野喜幸、荒木伸吾、進藤満尾、坂口尚、石黒昇、芦田豊雄のほか、小田部夫妻、高畑勲、長浜忠夫、吉田健二、笹川ひろし、布川ゆうじなど錚々たる人脈。大学の教え子で優秀な韓国人留学生には
君の行きたい会社を言ってくれればどこへでも入れてあげる
の一言。2009年はアンカマに在籍、アンカマと言えばFlash。その後仙台の大学院でもFlashを教えていたそうだ。

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Posted by A.e.Suck at April 9, 2020 11:33 PM