June 21, 2017
インテリジェンスなアニメ本
創作アニメーション入門―基礎知識と作画のヒント
山村浩二(著)
六耀社(ISBN: 978-4-897-37985-2)
そんな山村さんがアニメーションのしくみや歴史を解くことでアニメーションとは何かと説いているのがこの本。創作アニメーションってアートアニメ寄り。個人制作アニメーションに興味がある人向きの入門書だ。同郷でほぼ同年代なのに通って来たアニメ道がまったく違うから、この道38年のオレでも知らんことだらけだった。講義のようなインテリジェンスな内容で勉強になる。原理、歴史、手法を学習できる学術書っぽいのがアニメーション教本と違って新鮮。小難しいわけじゃなくて読みやすいよ。図版も多いし。
勘違いされてることもいくつかあるんでツッコんでおくと、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』はティム・バートンではなくヘンリー・セリック作品。トレス台は「透過光台」ではなく「透写台」が正しい。透過光は撮影用語。フィルム撮影機材の「線画台」って聞き慣れないけど「撮影台」のことです。そうそう、『戦場でワルツを』はFLASH製カットアウトアニメです。
北斎漫画、動きの驚異
藤ひさし、田中聡(著) 小林忠(監修)
河出書房新社 (ISBN: 978-4-309-27819-3)
この『北斎漫画』を「動き」の観点から検証したのがこの本。北斎の画力はめちゃくちゃ高いんだけど、動いて見えるように描くことにも拘ってたらしい。日本最初のアニメーターって解説してる。フィルムもパラパラマンガもない時代、アニメーターのスキルを持ってたって意味。たしかにポーズとか連続性がアニメの原画っぽい。シルエットにしても動きがわかる絵って、トラディショナルなアニメの教本と同じだね。などと、この本の大半を占める図版を眺めて思ったりする。引用される絵は大きくて見やすいけど、4000点もある中のほんの一部なんだよね。
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