June 14, 2017

Flashアニメ『夜明け告げるルーのうた』

サイエンスSARU制作の劇場用長編Flashアニメ『夜明け告げるルーのうた』はFLASHの鉛筆ツール作画の長編アニメとしてはおそらく世界初。TOHOシネマズ系は終了してたので、池袋HUMAXで観て来た。Flashアニメとしては極上の仕上がり。手間がかかってる。すげえ背動もあったよ。

FLASHだからできた映画

原画までは紙なので従来工程。それをスキャンしたのを読み込んで、動画以降がFLASH。それって15年前の地上波初のFlashTVアニメ『宇宙大作戦チョコベーダー』と同じフロー。原画マンが豪華だったので芝居は安心、Flashアニメーターはいい勉強になったでしょうな。クレジットによるとFlashアニメーターは2人のチーフ含めて11人、外注?のMarvin Animationが5人、他にFLASHペイントが1人。劇場プログラムによると、全編Flashでの制作は社内でも初の試みで不安があったらしい。でもFLASH中心のワークフローによってチェック作業や修正がスムーズに行なり、通常工程よりも時間短縮になったんだって。ルーの髪や水の表現などにシェイプトゥイーンが大活躍。FLASH作画は背景以外ぜんぶ、かな。液タブ(Cintiq)でなく板タブ(intuos)で作画してるね。そう、板タブがいいのよ。撮影はもちろんAE。

監督の湯浅さんはFlashの線が好みとのこと。観始めは主線ほっそ!って思ったけど、すぐ慣れてきた。湯浅監督曰く「シンプルな動きであれば誰でもFlashで作れると思いますが、日本のアニメは細かい日常芝居などをやりますから、そのあたりは勘と経験が必要になります。この扱いに長けたFlashアニメーターが2人いて、本作は彼らがチーフになって若い人たちを育てながら作っていきました」そのFlashチーフは2人のスペイン人Flashアニメーターが担当。彼らのインタビューが公開されてる。

感想

湯浅さん初のオリジナル。『ポニョ』と比較されるけど、湯浅版『パンダコパンダ』だよね。映画としても面白かった。アンチ人魚の人たちを描いてるのがいい。メインの3人よりは周りの大人達が面白い。ルーのキャラデザだけは好きになれんかった。

アヌシーで長編映画部門グランプリ

『夜明け告げるルーのうた』はアヌシー国際アニメーション映画祭の長編部門と、上海国際映画祭の長編部門にノミネートされた。アヌシーの方は、長編部門の最高賞にあたる「クリスタル賞」を『この世界の片隅に』を抑えての受賞。日本作品が受賞するのは『平成狸合戦ぽんぽこ』以来22年ぶり、Flashアニメの受賞はもちろん史上初

文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞

第21回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で『この世界の片隅で』と共に大賞に選ばれた。W受賞は2001年の『千年女優』と『千と千尋の神隠し』以来。

Posted by A.e.Suck at June 14, 2017 01:53 PM