July 19, 2012

大御所の話は聞いとけ

いまだから語れる70年代アニメ秘話

いまだから語れる70年代アニメ秘話
〜テレビまんがの時代〜


オトナアニメ編集部(著)
洋泉社(ISBN: 978-4-86248-964-7)
Flashでアニメ作る人、師匠のいない人は読んでおくべき対談集。70年代のTVアニメってのは、アニメーターの個性が認められてたからだ。その70年代を代表する大ベテランアニメーターと後輩のベテランアニメーターの対談が5本。そして東映出身の大御所2人(やはり先輩後輩)の対談が最後を飾る。作画オタのインタビュー本と違って先輩後輩の対談が中心てのが嬉しい。
大ベテランはいずれも業界では知らぬ者のない伝説の大御所だが、アニメが好きでプロになったわけではない。よくわからないまま職業として選んだのがアニメーターだったまでのこと。ベテランアニメーターは大ベテラン達が手がけた70年代TVアニメに影響を受けてプロになった元アニメファン。オレもそうだけどね。大ベテランを持ち上げすぎと思うかもしれないが、これが自然なの。大御所はそんだけ凄い人達ってこと。
大御所の話は新しい世代に伝えられるけど、弟子や後輩、仕事仲間など何らかの接点がなければ聞くことはできない。70年代のアニメはわからんとか、昔の思い出話聞いてもしゃあいとか言ってる場合じゃないよ。Flashに関しては、まだ70年代アニメの現状や空気があてはあまるので、聞いておいて損はない。
Flashやっててさ、師匠っている?あ、師匠ってのはアニメーションテクニックを手取り足取り教えてくれるわけではないよ。技術は自分で盗むものだからね。もっと基本的な、仕事の糧になるような話をしてくれるわけ。この本も大御所からテクニカルな話はでてこない。 Flashやっててさ、巧いなあって先輩が近くにいる?ホスト役のベテランアニメーターは先輩のようにテクニカルな話もしてくれる。そして個性が出せた時代と個性が禁じられた今の両方を経験した先輩の話も重要だぞ。
あと、思ったんだけどさ、今はアニメーターが稼ぎにくくなってるでしょ、制作体制を70年代のシステムに戻せばね、作品も面白くなるし、アニメーターも儲かるし、人材も育つんじゃないかなあ。
そうそう、この本で残念なのは木村さんの絵を別の人がPhotoshopで塗ってしまった表紙。よりによって70年代にはなかったデジタル彩色。鉛筆線を活かした装丁にしてほしかったな。さて、70年代を盛り上げた大御所達の話をもっと聞きたい。小田部羊一、杉野昭夫、大橋学、宮本貞雄、窪詔之、森利夫、湖川友謙、安彦良和、、、話を聞いておきたい大御所はまだまだいるよ。


Posted by A.e.Suck at July 19, 2012 06:49 PM