December 29, 2009
アバター 3D
2009, 162min. 新宿バルト9 TH6 Dolby Digital 3D ★★★
IMAX 3Dだと1.78:1だけど、Dolby 3Dなので横長で2.35:1。メガネは重くて暗いXpanDで液晶は汚かった。Dolby 3Dメガネだと曇りやすいからかと思ったが、広いスクリーンだと対応できんらしい。字幕はセンターだけどナヴィ語だけ右端に出て、これがブレて読みにくい。3D効果は期待したほどじゃなかった。PACE Fusion 3-Dで撮ったライブアクションはともかく、ほとんどがCGIアニメーションだし3Dでなくてもいい。実写のタイタニックの秘密やアニメのポーラー・エクスプレスは3Dすげーーーと思ったんだがな。
パフォーマンス・キャプチャーはよかった。CGIキャラは完璧、さすがはWETA。S.ウィンストン・スタジオやILMも参加してるのにデジタル・ドメインが関わってないんだよね…。
話はポカホンタスで、予想通りに展開するけど、そんなん観たくねーよって、かったるいシーンが多かった。ビジュアル的には新鮮みに欠ける。特にパンドラの美しさがわざとらしいし、生物もデザインがクドイというか、作り込みすぎで萎える。キャメロンは海月みたいなヒラヒラするもんが好きらしく、アビスの延長みたいな。AMPのパイロットも今の時代にしては粗末すぎる。 一方で、待ってました!ってゆー萌えシーンも用意してくれてるのが泣けた。鳥を駆るネイティリのポーズ。ジェイクのスピーチで結束する先住民。出演したかった。マグカップが似合うスティーブン・ラングの大佐。M.ロドリゲスのSA-2パイロットも大活躍。ガンシップ編隊の中央にどでかいバルキリー!立ち上がるエイワ。AMPをぶっとばすサイ、AT-99に群がるトリ!空中戦はダイナミックで壮観。ギャラクティカ的ショットもあって萌える。地上戦は、血しぶきがないのと排莢表現が違和感あった。C-21ガンシップのカーゴ・ベイで人間と戦う族長みたいのをもっと観たかった。AMP内の大佐はCG丸出しで萎える。ジェイクのログエントリーは全部で98。バジェット2億3000万ドル、USはPG-13。
→imdb、imfdb、予告、AVTR、Wiki、ロジャー・ディーン、日本語サイト
December 25, 2009
カールじいさんの空飛ぶ家 3D
ピクサー初のディズニーデジタル3D。XpanDは重くて暗いから嫌いなんだけど仕方ない。3Dなんで字幕より吹き替えだろう。残念ながら3Dで見る意味はない。家が浮き上がるまででおなかいっぱい、ここで終わっていい。そもそもカールじいさんじゃなくてフレドリクセンさんじゃん。グラン・トリノのクリントみたいに「ウォルトと呼ぶな」とは言われないけど、劇中では誰も「カールじいさん」とは呼ばない。だから「フレドリクセンさんの空飛ぶ家」が正しい。空飛ぶ家は長い期間かけて作るんかと思ったら、一晩で作ってやんの。往時もクライマックスも空を飛んでいる感じがしない。ただ浮いてるだけ。□と○が家をひっぱって延々歩くだけなのも退屈。ジイサンが超人すぎるし、他のキャラはみんな下品。ピクサーにしては珍しくハズレ。老けていく様子をネクタイの柄で表現したのはいいアイデアだね。バジェット1億7500万ドル。USはPG指定。
晴れ ときどき くもり 3D
3D 上映だけど制作は 2D。コウノトリが運ぶ赤ちゃんは雲が製造するって妄想話。舞台を空にしたのは楽しとるな。キャラは「は!」「お!」しか言わなくて、同じような芝居の繰り返し。意外性も薄し、短編としては平凡な内容だった。
→imdb
December 18, 2009
パブリック・エネミーズ
マイケル・マン得意の実録もの大歓迎。ジョン・デリンジャーと言えば、ウォーレン・オーツなんだが。東宝特撮でお馴染みのニック・アダムスも演ってるんだよね。ジョニデのジョニーは、沈着冷静でカリスマ性もあってカッコイイ。ジョニデとクリベの関係はヒートのパチーノとデ・ニーロを思わせるし、映画全体の流れもよく似てる。盗むのは銀行の金で、一般人からは盗らないあたりも。銃撃戦も様々なバリエーションで満足。赤いドレスの女と共に、映画好きのジョニーが観てたのは、C.ゲイブルの男の世界。ゲイブル見てニヤリのジョニー。そういえば似てる。有名な映画館前での射殺シーンは見応え十分。殺る気満々のGメンがジョニーを背後から狙っているとき、ジョニーに睨まれてひるむあたりがピークかな。S.ドーフ、久々に見たな。マリオン・コティヤールよかったなー、最後の最後まで。パーヴィスの部下役でCSI:マイアミのスピードルが出とった。バジェット1億ドル、USはR。
December 01, 2009
2012
G.パル好きなエメやんが、ID4で宇宙戦争やったから、今度は地球最後の日かと思ったが、、、なんと、実写版小松崎茂だった。地殻変動で崩壊する都市、降り注ぐ火山弾、津波に乗って空母J.F.ケネディがワシントンに突っ込んできたり(甲板からパラパラこぼれる艦載機たち!)、超巨大なノアの箱舟メカ…どれもこれも小松崎茂が80年代初期に描いた世界大終末シリーズそのもの。絶対画集見たよね?そんなワケで、スピルバーグもマイケル・ベイもアーウィン・アレンも円谷英二もビックリの、究極のデザスター大傑作!ドルビーデジタルシネマで観たので、でかい高解像度画面と大音響サラウンドのド迫力。VFXのスケール感がバッチリで、崩落、損壊、瓦礫、破片、噴煙、津波が堪能できた。終末ガイドは主人公一行様。リムジン→軽飛行機→アントノフと乗り継ぐことで崩壊の規模が拡大していく見せ方がうまい。しかも常にキャメラを移動させて臨場感もたっぷり。エアフォースワンやハインドも嬉しいが、アントノフには大喜びした。箱舟の巨大ドックも超カッコイイ。またポセイドン・アドベンチャーやってるし。キャラもそれぞれ見せ場があってよかった。帽子好きっ子ちゃんや狆はカワイイし、ドクター・フロックス素顔だし。狂気のDJ、W.ハレルソンの終末アニメはFlashでしょ、オモロすぎる〜。バジェット2億ドル、USはPG-13。
→imdb、予告、This Is The End、Watch my animation、日本語サイト
戦場でワルツを
監督自らが友人らへの取材によって、イスラエルのレバノン侵攻の記憶を辿る構成。証言者とその回想をFlashアニメで描いた小規模なイスラエル作品。今年のアカデミー外国語映画賞にノミネートされたが、おくりびとに負けた。それでもFlashアニメとしては快挙だし、Flash映画を全世界に知らしめた功績は大きい。戦争ドキュメンタリーアニメって言うとアニメンタリー決断か?冒頭の犬の群れはホルスだな。以降の本編の動きのほとんどはトゥイーンばっかしで味気ない。アニメというよりモーションイラスト。イキイキと動くキャラクターアニメではなく、淡々としたアートアニメ。アニメ技術は高くないけど、ベタとBLカゲのクッキリした絵柄によって、監督の主観が明確に伝わるからか、海外ではやたら評価が高い。バジェット200万ドル、実写でやったら莫大な金がかかっちゃうね。予めビデオ撮影はしてるけど、R.リンクレイター作品みたいにトレスはしてないとのこと。背景に加工した写真を使ってたりはした。絵にしたぶん、リアリズムや情報量が減ってかったるいので何度も観たい映画ではない。ラストシーンは実写なんだが、やっぱ、生の映像の持つパワーはスゴイ。USはR指定。日本はPG-12。
November 27, 2009
イングロリアス・バスターズ
懐かしのユニバーサルロゴに続いて、タイトル曲にびっくり。でも本編はちゃんとマカロニ。タランティーノらし〜い映画だった。長〜い会話の後の短いバイオレンス。特にchapter1〜2はめっちゃええ。ストーリーラインは2つ、その一方がバスターズのお話。V-2ロケット強奪大作戦や特攻大作戦みたいなならず者部隊のミッションものとしては物足りんかった。車両に乏しく、キューベルワーゲンがちょっと出る程度。ヒトラーをも震え上がらせる残虐さと、サージェント・スローターぽく顎をつきだしたブラピがオモロかった。バスターズで1本観たかったけど、もう一方の家族を皆殺しにされたユダヤ娘の話も秀逸で捨てがたい。ショシャナがいいのよ。2つのストーリーはクライマックスでちょっぴり合流する。そして意外な展開。ショシャナ〜!荒野の1ドル銀貨とキャットピープルに思わず反応してしまうが、この絵にはちょっとやだ。H.カイテルの声がした。バジェット7000万ドル、USはR指定。
November 14, 2009
スペル
懐かしのユニバーサルロゴで80年代へ!うわー、このノリはヤツの原点Evil Deadだー。サム・ライミが本来の姿で戻ってキター!脚本はキャプテン・スーパーマーケットの後に書かれたらしいので、その延長かー。ブルース・キャンベルはバーン・ノーティスで出演できんかったが、主人公のネーちゃんはアッシュの女版に見えた。志村けんのヘンなおじさんにも負けない、場違いなキチガイババアのガナッシュさん、サイコー!最初の襲撃から大爆笑。以降はハイテンション痛快ホラー活劇!ポン、ブシュッ、ドヴァ〜!あ、鼻血も凄かったね。ハエとヤギも名演。Lamiaの見せ方もうまい。さすがライミ、期待以上の仕上がり満足度高い。バジェット3000万ドル。USはPG-13。来年にはEvil Dead 4がくるぞ!
October 27, 2009
ファイナル・デッドサーキット 3D
待望の4作目は3D上映。液晶シャッターメガネはXpand 3D。3D効果は満点。特にタイトル前のレースシーンはスタンドも含めて迫力あった。パーツが飛んできたときゃ、思わず目をつぶっちゃった。破片、水しぶき、血しぶき、炎、肉片、全部こっちに飛んでくる。アクションだけでなく、通常シーンの奥行き感もバッチリ。 監督は「2」や「スネーク・フライト」のD.R.エリスなんで期待したんだが、あからさまに3Dを意識した演出で、2Dだったらしょーもない映画になっちゃった。死に方が安直で、ながーい段取りのピタゴラ系を期待すると裏切られる。死に様で感心できるものはなかった。人体粉砕描写も控えめで、すでに肉片だけだったり。吹替えはかなり醜い。日本版は吹替え版のクレジットもあるんで2分長い。バジェット4300万ドル。USはR、日本はR-15。
September 28, 2009
サブウェイ123 激突
スリリングでユーモラスだった名作サブウェイ・パニックの再リメイク。まったく別アプローチで、市長が嫌いな元証券マンは金相場で3億ドル大儲け、悪徳地下鉄職員は牛乳買って帰る映画。NYPDのESUは狙っていながら発砲しないなーと思ったら、ネズミに噛まれて犯人の1人を誤射ってアホな展開。身代金を時間ないのにそんな遠くからヘリじゃなく車で運ぶか?ほーら事故ってバイクが引き継ぎ。だったら最初からバイクでいいじゃん。デンゼルも指名されたからって、自分が行かなくてもいいし。トラボルタの犯罪者はビンセント・ベガ以降全部おんなじ。まんまソードフィッシュ。いつものように途中で出てきたJ.タトゥーロはいるだけで何もナシ。オロオロするデンゼルはみもの。日本版は16分短い。バジェット1億ドル。USはR指定。
September 25, 2009
ウルヴァリン/X-MEN ZERO
B.シンガー、B.ラトナー、L.ワイズマン、Z.スナイダーに断られ、南アフリカの新鋭ギャヴィン・フッドが監督。1億5000万ドルもかけたヒュー・ジャックマンのオレ様映画だから言いなりだったろうな。X-MENシリーズに比べると、スケールは小せえし、ありきたりな話で大した内容はない。登場人物も出てきては死に、出てきては死にの繰り返しで深みがない。PG-13狙いで描写がユルいのでかったるかった。アホくさい演出は観てて恥ずかしくなる。エグザビアが拉致されてたミュータント達を迎えに来たり、ウルヴァリンの記憶がなくなったりで、1作目にはつながる。と思ったら、これの続編があるらしい。オリジナル版にあったウルヴァリンが日本で結婚式を挙げるシーンは、失笑ものってことで日本ではデッドプール復活シーンに差し替えられた。
August 22, 2009
ボルト 3D
ディズニーのアニメって、トレジャー・プラネット以来。ラセター指揮の下、ピクサー魂注入で見事な物語になった。3D 版なんで吹替え。江角マキコと山路和弘はすげーハマってた。2D上映でも十分いい映画なんだけど、3D上映でレイヤー感も臨場感も倍増。あからさまな3D演出はないけど、「おぉ!」と思うような3Dを意識したショットがさりげなくあった。トゥルーマン・ショー+三匹荒野を行くかと思ったら、手錠のまゝの脱獄も入ってた。ネコとの絆が深まったり、道中に犬らしくなったり。スタジオに戻ってからのドラマは泣ける。エンディングの2Dアニメ、すげーカワイかった。バジェット1億5000万ドル。
メーターの東京レース 3D
2008, 7min. 新宿ピカデリー S7 ★★★
ピクサー初の3D上映アニメ。「ボルト」はディズニー3D方式だけど、これはベオウルフやアバターや、この後のカールじいさんの空飛ぶ家と同じDシネマ方式。もちろん、カーズのスピンオフ。いかにもTokyo Driftの影響があるものの、描かれる東京はメーターの妄想ってとこがミソ。さすがラセター。ゴールは東京タワーのてっぺん。モンスターズ・インクの寿司レストラン「ハリーハウゼン」が東京にもあった!ただ、ピクサー作品に出てくる日本語はいつもの変な角ゴシックなのがシラける。
July 03, 2009
トランスフォーマー/リベンジ
前作から2年後。ストーリーは甘い。メインプロットのスムーズすぎる展開は呆れるほどだし、多すぎるサブプロットは、本筋に影響ない小話をどんどん切り捨ててく潔さ。オートボットもディセプティコンも多すぎてキャラ立ってないし。でも萌えポイントも多かった。中盤、林でのオプティマスの戦いぶりは超かっちょええし、感動的だった。クライマックスのエジプト攻防戦も迫力満点で大満足。展開する米軍がスゲエ!M1戦車、空母、原潜、アパッチ、プレデター、C-17、F-16にB-1まで飛んできた。A-10もチラリ参加。ワクワクしっぱなしー。SR-71のジイさんもよかったー。そうそう、スミソニアンのシーンもよーできとったなー、F4嬉しかった!バジェット2億ドル、USはPG-13。
June 25, 2009
レスラー
身も心も痛い。なんと16ミリで撮られたこの映画は、ビヨンド・ザ・マットのドラマ化?ってくらい、レスラー面はミック・フォーリーのセグメント、パーソナル面はジェイク・ロバーツのセグメントを彷彿させる。特に娘とのエピソードはまんまで泣かせる(娘役はシモーヌで娘やってた女の子。大人になってた)。つまり脚本があって演出されてはいるけど、事実に基づいてると言える。そういえば「ビヨンド・ザ・マット」も同じシネマライズで観たっけ。ミッキー・ロークがスゴイ。本人とキャラクターが被りまくりの生々しさ。プロレスそのものが包み隠さず描かれてるし、レスラーの日常描写もリアル。しかも晩年のズタボロになったレスラーを見るのは辛い。最後のマイク・アピールは感動的だったし、ラストも素晴らしい。ボスの歌がジーンとくる。バジェット700万ドル、USはR、日本はPG-15。
June 18, 2009
ターミネーター4
2009, 114min. 新宿バルト9 TH6 DLP ★★★★
タイトルバックは1作目のアレで大感激!審判の日後の話でタイムトラベル描写はないし、エンドスケルトンがゾロゾロ出てこないのはいい判断。A-10やヒューイが飛び交い、レジスタンスがM4で戦う戦場描写はリアルでよく出来てた。ジョン・コナー登場は、エンドスカルを踏む足からのPAN。これってT2の頭蓋骨を踏む足からPANするとエンドスケルトンのオマージュだよね?ニクイねえー。ヒューイに乗り込んだコナーを、離陸から墜落までFollowする画期的演出。アクションシーンはどれもよかったが特に橋のチェイスは凄かったし、A-10とハンターキラーのドッグファイトが見れるなんて鳥肌が立った!!CV-22やペイブホークも出てくる!Tシリーズの進化も見所だし、人間鷲掴みのハーヴェスターも萌える。お約束、工場対決もスリリング。マーカス・ライトは主役と言えるほどのキー・キャラクターでドラマの推進役。こいつがいなかったらサラマンダーになるところだった。演じるサム・ワーシントンがカッチョええんだ、最後は泣けちゃった。カイルの若い頃はスター・トレックでチェコフの若い頃を演じた役者だが、ちゃんとマイケル・ビーンに見えてきた。マイケル・アイアンサイドも嬉しかった。ババアと女の子を活かしきれんかったのが残念。バジェット2億ドル、シリーズ初のPG-13。
June 02, 2009
スター・トレック
2回目は劇場で。スクリーンでかいし、椅子も音もいいし、ガラガラでジャマな頭は一切ない。サレックがアマンダと結婚したのは(論理ではなく)愛していたからと告白したり、未来のスポックが「Good Luck!」と言ってみたりはグッとくるが、やっぱりJJってTV屋だなあと思ったのは、キャメラワークがめまぐるしいのと、人物が寄りばっかなこと。IMAX版だと画角的に印象は違うとしても、映画としては1,2,3,4,8作目の方が上。カークの同期にベイダーがいたり、氷の惑星だの怪獣だの、バルカン消滅だの、スター・ウォーズ的な映画にしちゃった。ネロはダース・モールだし、エンタープライズの見せ方はファルコンだもの。スポックにわざわざ「父上」って振らせてまでも未来のスポックに「I am not your father」って言わせたのは、ニモイの著書「I Am Not Spock」にかけてるというよりは、ベイダーの「I am your father」のパロディに聞こえる。だから新しい時間軸はアルファ宇宙域と言うより、遠い昔の冒険活劇であって、SFですらなくなった。JJの好きなスター・ウォーズの新作が製作されないので柳の下を狙ってやってるとしか思えん。
May 19, 2009
スター・トレック
アーチャー時代とTOSをつなぐ話かと思ってたんで、面くらった。時代的にはそうなんだけど。ロッデンベリー夫妻に捧げられてるとは言え、これは違う人達が作った別のスター・トレックだった。「宇宙空母ギャラクティカ」が「バトルスター・ギャラクティカ」に生まれ変わったような再起動プラン。本来な設定からすれば、えーーーー!な描写が多いし、ストーリーの穴もある。800人がシャトルで脱出しても、船を地上で建造しても、Mクラスが過酷な環境でも、地球がドリルに無防備すぎても、スポック以外はみんな同期でも、エンタープライズがブサイクでも、リセット脳で見ればいいとして、やんちゃな問題児カークが簡単に船長になっちまうとは、緩すぎるぞアカデミー。感情を抑えないスポックがヒロイン級扱いのウラと…あり得ねえ〜。翻訳もよくないよ、「First Officer」を「サブ・リーダー」って、、、何その日本語。ニモイの登場シーンは嬉しかったけど、仙人みたいな扱いで神出鬼没。クリス・パインはカークらしかったのと、オープニングタイトルとエンディングが超カッケーのはよかった。あとブリッジの音!バジェット1億5000万ドル、USはPG-13。
April 13, 2009
グラン・トリノ
グラン・トリノと言えば「スタスキー&ハッチ」の赤い稲妻。これの72年型を大事にしてる頑固で偏屈なジジイ、ウォルト・コワルスキーさんの話。ポーランド系で長身ってことで、その名前はトリプルHの師匠で昨年亡くなった名レスラー、ウォルター・キラー・コワルスキーから。うっかり近づこうもんなら「うちの芝生に入るな!」って怒られるし、気安く「ウォルト」なんて呼ぼうもんなら…。これが、ええ話だったー。クリント俳優生活引退作品にふさわしく、J.ウェインが遺作として挑んだ「ラスト・シューティスト」を思わせる。監督クリントの語り口はいつものようにオーソドックスで身にしみる。隣のモン族との交流で心を開き、皮肉はユーモアになる。弱虫タオ君には、アメリカ男のビンテージな魂を伝授する。新しい価値観を砕くバイオレンス。モン族のチンピラへの壮絶なお仕置き。ラストを締めくくったクリント流男の美学はジーンときた〜。アイテムはM1ライフル、ガバメント、勲章とライター、工具の数々。バジェット3500万ドル、USはR。
April 10, 2009
パニッシャー:ウォー・ゾーン
「マーベルナイツ」ブランド1作目。ハルク同様、前作はなかったことにして二度目のリメイクだが、バジェットは大幅に減って2200万ドル。でも、89年のD.ラングレン版、04年のT.ジェーン版よりは断然パニッシャーっぽい。生身のオッサンであるパニッシャーの醍醐味は、大量の銃器による壮絶な虐殺。お仕置きは頭部を吹き飛ばしちゃうサービスぶり。ボディのパニッシャー・スカルは控えめながらテンポがいいので退屈しない。見ないやつは私刑なのだ。USはR、日本はR-15。
April 02, 2009
ウォッチメン
オープニングからすげー作り込みで圧倒された!ヒーロー行為が禁止されたニクソン時代のアメリカで、第三次大戦の危機に挑む元ヒーローたち。現実世界におけるヒーロー像の深〜い描写がヤバすぎるほど生々しい。孤独に戦い続けるロールシャッハが激シブだが、何と言っても唯一のスーパーパワーの持ち主、青い全裸巨人、Dr.マンハッタン最強!チンポをプラプラさせたヒーローって斬新すぎるぞ。ノワール調のシンプルなストーリーながら、各キャラ達のサイドストーリーもたっぷり、そして驚愕の結末。アーチー発進はブレーンコンドルを彷彿、黒いSE/30はFinderも白黒反転モード。ニクソンの他にも実在する(した)人物が登場する。JFK、F.カストロ、L.アイアコッカ、D.ボウイ、M.ジャガー、A.ウォーホール…バジェット1億5000万ドル、USはR、日本はR-15。
→imdb、imfdb、予告、Analisis、日本語サイト
April 01, 2009
マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと
オープニングはCSI:マイアミにソックリだった。原作ではマーリーが自由奔放に生きる尊さや老いることの現実を教えてくれるんだが、この映画はいくつかのエピソードを拾って再現すると長くてかったるいだけだと教えてくれる。犬を迎えてから看取るまでの13年間、家族のスケッチが淡々と続くだけで物語がない。夫婦のくだらん会話を削って、映画出演のエピソードを入れてほしかった。ジェニファー・アニストンの胸ポチもいいけどさー。ドッグビーチで次々にリードがはずされるシーンのハイスピードなど、マーリーを捉えた美しく力のある映像が救い。キャスリーン・ターナーのイルザみたいな鬼トレーナーはよかった。マウンティングは笑った。USはPG。
→imdb、予告、John Grogan、The Last Home Run、日本語サイト
March 30, 2009
ワルキューレ
D-DAY直後の話。ドイツ軍好きだし、有名な話なんで期待したけど、「ヒトラー 最期の12日間」ほどリアルじゃないし、やっぱねー、反乱失敗が前提なんでハマれんかった。ヒトラー暗殺は失敗続きだし、ワルキューレ作戦見切り発動後もお粗末だったって話をキッチリ描いてるんだが、反ヒトラーの改革派がいたことが伝わればいいんだろうな。将校たちはサマになってた。観客の感情がシュタウフェンベルク大佐に向くようにしてたけど、トム・クルーズじゃなきゃよかったのに。フロム司令官は気の毒だったなー。ドイツのTVムービー「オペレーション・ワルキューレ」が見てみたい。バジェット7500万ドル、USはPG-13。
February 16, 2009
007/慰めの報酬
変な邦題。いきなり凝ったカーチェイスで呆気にとられているうちに、妙なタイトルシーンが始まって、モーリス・ビンダーから離れなさいって。ほんで、前作の続編と言うよりそのまんま後編のお話はアクション主体。ガラスものが目立ったのと、ワルサーPPKの復活。未熟な諜報員ボンドさんは、個人的な復讐のために善悪を無視して暴走しまくりの迷惑行為。死ななくてもいい味方達もボンドのせいで次々に死ぬのがやりきれない。完全に諜報員の枠を越えちゃったハミダシぶりに困惑しちゃう。MI6の立場も悪くなるし、Mはボンド抹殺を令じてもおかしくないんだが、ボンドを追って各地に現れる無茶ぶり。ガン・バレルは最後にあったけど、マニー・ペニーやQはやっぱり出てこない。バジェット2億ドル、USはPG-13。
January 25, 2009
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
RCの「2時間35分」は長電話の歌だけど、この映画は尺が2時間47分もある。長っ。80年の人生を描くにはかなり端折った方か。でも長っ。 主人公が気色悪くて共感できん。胴体は生身の人間なのに、顔だけフルデジタル、そんなやつおるかーーー!でもD.フィンチャー技術的な挑戦がしたかったワケだな。 J.キャメロンやR.ゼメキスを追うようなD.フィンチャー、北米ではやたら評価が高いのが不思議。金かけただけあって技術点は高いけど、若返りは突飛すぎる。最後は大人サイズの身体で、顔や皮膚は赤ちゃんでなきゃいかんでしょ。人物の行動動機も希薄で物足りない。気まぐれで話題を変えて、いい場面をつなげたような展開。 だからこそデイジーの存在感には救われた。違和感を感じさせないキャラクターだった。80年の人生で出会った人々は少ないながらも主人公より素敵で印象的だった。特にハチドリ船長と落雷じいさんは忘れられない。老け顔はデジタル・ドメインによるフルCGI。顔面にパウダー塗った表情をキャプチャするcontourってシステムでハルクにも使われてた。バジェット1億5000万ドル、USはPG-13。
January 23, 2009
ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー
2008, 119min. TOHOシネマズ六本木7 ★★★★
レボリューション・スタジオがソニーに切られ活動停止になったんで、製作がユニヴァーサルに移った。冒頭の人形劇(!)から歯車タイトルは嬉しかった。M.ミニョーラのカラーを反映してた前作から一転、G.デル・トロ版ヘルボーイって感じ。メインストーリーはありがちな復活劇でオチが読めるし、サイドストーリーはヘルボーイらしからぬ大衆向け。でもそれぞれのキャラは活かされてたし、ギャグも多いし、デル・トロなクリーチャーやプロップもたっぷり。トロル・マーケットは行ってみたいし、超カコイイ森の精霊は間近で見たいし、岩男の入り口はくぐりたいし、歯の妖精はカワイイし…てことは、歯車の決闘はカリ城…宮崎駿やりすぎ〜。バジェット7200万ドル、USはPG-13。
January 01, 2009
ワールド・オブ・ライズ
こちらラングレー、小太り局長こと中東担当のホフマンです。何か食いながら、中流お父さんとして家族と過ごしながら、非情な命令を下したり、作戦かき回したりしてます。これがリドリーのアメリカのイメージなんだろう。フィールドエージェントのフェリスさん、生きてますか?はい、こちら現場です、騙し騙されで命懸け。RPGで急襲されるわ、G-36撃ちまくるわ、小太りは情報くれんわ、味方にジャマされるわ、拷問されるわで散々。ちょっぴりイイコトもあったけど。地元ヨルダンGDIのハニさんは心強いです。クールでオシャレでカッコイイし、信頼重視の割にはポーカーフェイスで出し抜きます。そんなハニさん最高〜!言語学者と建築家はお気の毒。バジェット7000万ドル、USはR、日本はPG-12。