いい映画だった!日本の劇場アニメ見て泣いたのは『ちびっ子レミと名犬カピ』(1975)以来かも。すずさんはこまいのー。129分はアニメでは長尺だけど長いとは感じず。日本の『風が吹くとき』だ!このあと『仁義なき戦い』が待っとるけぇね。ちょっとどんくさいすずさんを通して戦時下の日常をおもしろエピソードを交えて淡々と描いてるだけなのに。すずさんは日常のすべてを受け入れてるのが健気でいい。大きな事件は爆発事件くらい。右手を失って絵が描けなくなったのは見ててショックだったけど、春ちゃんの小さな命に比べたらね。すずさんが受け入れ難かったのは敗戦。その時だけはローアングルの大胆なレイアウトで感情が爆発する。入念なリサーチによる再現性は見事で、ソフトな画調も素晴らしい。対空砲の炸裂煙の色も初めて知った。些細なスケッチでもいいシーンが多くて、何度か涙が出た。能年ちゃんの吹替えの力と3コマフルの動き。登場人物はみんなよかった。北条家もいい人達でよかった。特にそのままのすずさんを受け入れる周平さん。あと遊郭のりんさん!すずさんからみても素敵な女性なんだろう。芝居も実にいい。この映画のキャラクターは原作の画風なのかもしれんけど、頭身が短くて手や足が大きめなので描きにくかったと思う。そこをカットによってはプロポーションを変えてるあたりが絶妙。冒頭が入って行きにくかったのと、エンドクレジットですずさんとりんさんのその後が描かれるんだが、絵が見辛かったのが惜しい。そしてコンテから欠番にした30分を加えた完成版が見たーい。