Adobe LiveMotionがわかると
Webデザインに強くなる

A.e.Suck著/メディア・テック出版
B5変型判/368ページ/本体2,850円+税/ISBN 4-89627-099-1
2001年1月23日発売

Adobe LiveMotionがわかるとWebデザインに強くなる
インタビュー

Questionまず、Flash専門のあなたがこの本を書くことになったきっかけからお聞きしたいのですが。
A.e.Suck2000年の6月だったと思う。メディアテック社からメールが来て、ぜひ頼みたい企画があるってことだった。それがLiveMotionだったんだ。製品が発売される前で、まだベータ版でね。その時すでにMacFanとdesign plexのためにレビューを書いていたから、このソフトのことはある程度知ってたんだ。Flashほど魅力的じゃないってこともね。もちろん最初は断ったんだが、とりあえず彼のオフィスを訪ねて、キチンと断ろうと思ったんだ。
Q断れなかったんですね?
Aその日の夜には書き始めてた(笑)
Qヒマだったんですか?
Aでもない、忙しい時期だったよ。なぜ引き受けたかは覚えてないが、こんなに大仕事になるとは思ってなかったよ。
Qどんな点に苦労しましたか?
A天気だよ、ほとんどの部分はロケだからね。ステージを使ったのは、3章と、6章の一部だ。クランクインした頃は天気に恵まれてたんだが、夏は大変だった。僕らはアリゾナの砂漠で撮影してたんだけど…
Qぼくら?
A昼間は気温が40度くらいまであがるんだ。冷房といったら、ケータリングサービスのトレーラーだけだった。ある暑い日、仕事に取りかかろうとしたら、クルー達が見あたらないんだ。みんなトレーラーの中に避難してたんだ!でもぎゅうぎゅう詰めだから冷えなくて、みんな汗びっしょりだった。そのままトレーラーを運転してアウシュビッツに連れて行こうかと思った(笑)
Qあの、クルーがいたんですか?原稿書くのに…
Aセカンドユニットは別にして80人ほどだと思う。ユニオン以外のクルーもいたから、実際はもっとだろう。
Q作りながら話してますね?
Aうん。
Q書籍としては、前作「ジャンピングFlash 3J」以来2年ぶりですね。続編に取りかからなかったことで、ブランクの影響はありましたか?
Aテレンス・マリックより短いだろ?それに「ジャンピング」に関してはあれで完結してるし、続編の必要はないんだ。
Qしかし、あなたは当時、(ジャンピングは)全9部作のうちの第4話だと話していましたよ。
Aじゃあ、そうなんだろう。実は続編のプロジェクトは進んでいたんだ。「ジャンピングFlash 4〜ムービーキングの逆襲」ってタイトルだった。残念なことに、諸事情で製作中止になってしまったんだけどね。ハリウッドではよくあることだよ。こうしたらどうかな?「ジャンピングFlash 3J」のカットした部分を収録した「コレクターズ・エディション」をリリースするんだ。
Q今更Flash3じゃ売れませんよ。話を戻しますが、当初の予定通り、クリスマスシーズンに間に合わなかったのは?
A他のプロジェクトをいくつも抱えてたからだよ。スタジオの重役もうるさく言ってこなかったしね。でも急いで書き上げちまうには、惜しい題材だったんだ。多くの人がこの本をクリスマスのプレゼントにしたがっていたことは知ってるよ。でも考えて欲しい。遅れたおかげで、Illustrator9.0やGoLive5.0も取り上げることができた。Photoshop6.0はさすがに間に合わなかったけどね。
Qプレゼントになんて人はいません…Win/Mac両対応ということで、苦労しましたか?
A同じ話を別のキャスト、別のセットで撮るようなもんだよ!Mac版とWin版ではまるで違うし、メニューに書いてる名称なんかも微妙に違ってるんだ。おまけに僕のWinはイカレちゃって使い物にならない。だから、僕がMac版で原稿書いたら、スタジオに送ってWinで検証してもらったのさ。問題があれば即座にフィードバックがあるんだ。
Qこの本はどれくらい売れるんでしょう。
A普通、この手のアプリケーションの本は売れにくいんだ。そこで僕のストラテジーとしては、作例をWWF関連にすることで、全米のWWFファンにアピールしようと考えたんだ。WWF効果は絶大だよ、MLBより人気があるからね。
Qでも、この本は日本国内で販売されるわけですから、全米にアピールできても効果的とは思えませんが?
A確かに日本は小さなマーケットに過ぎない。だから初版は4000部と聞いている。そこで、原稿は4000部ずつコピーして送ったよ。
Q1部作って印刷すればいいじゃないですか。
Aプリント代が高くつくらしいんだよ、だから1冊1冊手作りだった。エキストラが4000人いれば、1人1冊がノルマだが、そこまで予算がなかったので100人ほど雇って、後はデジタル処理で人数を増やした。
Qその方がはるかに高くつくと思いますが…
Aもちろん、オーバーした分も含めてバジェットの全てを初版で回収できるとは思っていないよ。映画化、ゲーム化、文庫化その他マーチャンダイジングによる権利も見込んでる。実際、映画化はいくつかオファーがあるよ。マーティン・スコセッシやオリバー・ストーンも興味を示してる。でも、ピーター・ブラッティとフリードキンのような関係にはなりたくないんだ。
Qどうしてスコセッシやストーンが知ってるんですか!
Aジャック・ショルダーが「ヒドゥン3」のアイデアを探してて、僕に協力してくれないかと言ってきたんだ。LiveMotion本書いてるからそんな時間はないよって言ったら、彼は「ワオ!それこそ探していたものなんだ!」。仕方がないから最初の20ページほどを送ったら、向こうで評判になってしまったんだ。面白い話があってね、オリバーから丁寧なメールが届いた時、君が脚色してくれるんだろうね?ってリプライしたら、もちろん!って言うから、じゃあ監督はアラン・パーカーで、って言ったら、彼は汗びっしょりになって怒ったよ(笑)そうそう、実は名乗り出た監督はもう1人いるんだ。
Q一応聞いときましょう。誰ですか?
Aそれがサム・ライミなんだ。(映画化権を)是非売ってくれ、ジェリー・ブラッカイマーには絶対売るなってさ。少なくとも、サムがプロデュースしたがってるのは確かだ。まだ20ページしか読んでないのにね。ビリーをランチに誘って見せたらしいんだが、彼も乗り気で、
Qビリーって?
Aビリー・ボブ・ソーントンって俳優だよ。僕の希望はケビン・スペイシーなんだけど。そう言えば、ディズニーランドのアトラクションって構想もあるんだ。題して、「Adobe LiveMotionがわかるとWebデザインに強くなるライド」。乗り物に乗ればこの本の世界を疑似体験できるんだ。1周すればLiveMotionでアニメが作れるようになってるってわけさ。出口で記念にLiveMotionの体験版がもらえるんだ、凄いだろ?
Qでも、LiveMotionのバージョンが上がったら、使い方が変わりますよ。
Aでもアニメの作り方は100年間変わってないよ。
Q私なら乗りませんけどね。
A並ばなきゃ乗れないんだよ。
Qそういう問題では…、あの、次回作についてですが。
Aすでに次の書籍が進行中だ。今は言えないけど、3月には何らかの発表ができるはずだよ。
Qそれは楽しみですね。
Aだろ?再び「Flash本」に取り組んでるんだ。もちろん、バージョン5対応で、オーム社から3月にリリースされる。タイトルはまだ仮題だが、「Flashアニメーション徹底攻略」になりそうだ。アニメ制作に絞った内容で…
Q今は言えないんじゃなかったんですか?
A自分へのプレッシャーも必要だよ。
(2001.1.16ドトール西荻窪店にて収録)